ベルリオーズ レクイエム

C. デュトワ指揮 NHK 交響楽団

国立音楽大学合唱団 J.K.ヌzツォ (Tenor)

2002 年 12 月 13 日 NHK ホール

 シャルル・デュトワが 2003 年 9 月で N 響の音楽監督を アシュケナージに譲るというニュースをきいて、せっかく 東京にいる間に一度彼とN響のコンビの演奏を聴いておきたい ものだと思っていたところ、定期公演で彼が得意と思われる フランス系の曲目で、かつ生演奏で聴く値打ちのありそうな 演目(ベルリオーズのレクイエム)があったので、学会中では あったが思わず切符を予約した。奇しくも 13 日の金曜日で あったが、レクイエムという曲目にはむしろふさわしかったの かもしれない。

 さて、NHK ホールも N 響、それから曲目も今回が初めてで あったので、あまり的確な感想は書けそうにない。ただ、天の 四方から響いてくるようにと指示された金管隊は、ステージの 両わきと二階の舞台袖のあたりにいて、それなりの迫力を うみだしていた。演奏は曲目のせいもあると思うが、少し流れ がよくないような印象を受けた。ただ、終曲はとても美しかっ たし、比較的穏やかな奉献唱も印象に残った。独唱は出番が 一瞬しかなくてかわいそうだが、美しい歌唱だった。結論と しては、これぞ世界のデュトワという印象ではなかった(指揮 ぶりは格好良かったけど)。やっぱりN響との関係は大成功とは いかなかったのかもしれないと言ったら言い過ぎだろうか。


バッハ クリスマス・オラトリオ第1部他

樋口隆一指揮 明治学院バッハ・アカデミー合唱団・合奏団他

2002 年 12 月 14 日 明治学院白金チャペル

 明治学院大学のチャペルで開かれるバッハ・アカデミーの演奏 会も今回が 18 回目という。この日の曲目はブランデンブルク 協奏曲の第2番、第4番と、クリスマル・オラトリオの第1部で あった。どれもよかったが、特にブランデンブルクの4番が出色 の出来と思われた。最初の2番は、結構好きな曲であるが、島田 俊雄氏のトランペットが苦戦しているなと思ってしまった。しか し、後できくところによると、自作のトランペットで、バルブの ない昔のタイプのため、超絶技巧だったのだそうだ。第4番は、 ヴァイオリン独奏が桐山健志氏で、リコーダーが山岡重治・太田 光子氏だったが、すばらしかった。第一楽章を聴いているうちは 素朴な古楽器の音がチャペルの雰囲気とマッチしているなと感じ ていたが、第二楽章では独奏者達が後方の説教壇?に移動して 演奏したが、なきたくなるような美しさだった。そして第三楽章 では、また全面に移動して、今度はヴァイオリンが多いに盛り 上がり、思わず興奮してしまった。クリスマス・オラトリオは 本来、一日に一部ずつ演奏して6回で全部を終わるようになって いるとのことだったが、やはりもっと聴きたいという気持ちに なってしまった。


Kenta Nakai