Research

私は、がん患者の全身環境をマルチオミックスで捉え、がんの病態解明と治療最適化につなげることを目標に研究しています。患者さんからは、手術で切除された腫瘍組織だけでなく、血液や糞便などのさまざまなサンプルが採取され、CT や MRI などの放射線画像も撮影されます。これらを解析すると、がん細胞と免疫細胞が織りなす腫瘍微小環境の変化2,7、腸内細菌叢の構成と治療の効きやすさとの関係1,3,6,P5、血液中に漏れ出したがん由来 DNA(ctDNA)の遺伝子異常8、画像に写る腫瘍の位置や大きさといった、身体の中で起きていることを読み取ることができます。私は、これらのマルチオミックス情報を組み合わせて、がんの臨床に役立てることを最終的な到達目標としています。

研究は、二つの方向を行き来しながら進めています。ひとつは、がん治療に携わる医師と協働し、「この治療は誰に効くのか」「なぜ効かなくなるのか」といった臨床の問いにデータで答える研究。もうひとつは、そこで得た知見を、数理モデル4や解析手法5、診断モデルP4、シミュレーションといった AI 技術に落とし込む研究開発です。新しい手法は次の臨床の問いに使われ、その結果がまた手法を育てます。この循環を回すことで、臨床と情報学の両方を前に進めています。